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SFインターメディアフェスティバル2016レポート

皆様こんばんは。
SFコミュニケーション研究会のおもちΩです。
3月27日(日)に開催しました『第二回SFインターメディアフェスティバル2016〜すべてがR(eal)になる〜』のイベントレポートです。当日ご来場くださった皆様、ご登壇くださったお三方、企画から会場設営等、ご協力やご助言をくださった皆様に、まずはこの場をお借りして心より御礼申し上げます!同時に、諸事情によりレポートの更新が随分遅くなってしまったことをお詫び申し上げます。

今回のイベントは、「現実」または、「現実を拡張する」というのはどういうことかというテーマで、ARメディア作家の赤松正行氏、心理学者であり舞台演出家の加藤智宏氏、臨床心理士の後藤智希氏にご登壇頂き、各々の専門分野の視点から
「現実を拡張すること」について語って頂きました。

会場には、赤松氏が企画されている「ARアートミュージアム」の一部の作品を展示し、待ち時間にご来場の皆様に、アプリをインストールした携帯端末をかざしてご鑑賞頂きました。肉眼では一枚の絵画や写真に過ぎないものが、画面上で生命を吹き込まれたように動く様子から、拡張現実を実感としてお楽しみ頂きました。

第1パネリスト:赤松正行氏/メディア作家、博士(美術)、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)教授

まず、アートにおいて、テクノロジーやメディアがどのように使われていったかという概略を、トーマス・エジソン(1847〜1931)のキネトスコープやアイバン・サザランド(1938〜)によって造られたゴーグル型の視覚装置を紹介して頂きました。90年代頃までは、ARを造ろうとすると巨大な装置が必要で、それを背負って動き回るというのはなかなか大変だったみたいです。そんな中、2007年に登場した「iPhone」は、こうしたテクノロジーベースのアート界においても衝撃を与えたということです。
最後に、ネット上で商品を購入したり、スマートフォンを通してものを共有したりできる私たちの今の生活は、実はもうすでに情報の世界の中の行動が現実の世界に影響を強く及ぼしていて、現実なのか、そうではないのかといったことを区別して考えること自体が恐らくどうでもよくなっているくらい拮抗状態にあるのではないかということでした。人類の考え方の変遷を考えて行けば頷けるもので、元々は特別だった現象が一般化されていくことで、特別だったはずのものが大きなものの一部に過ぎなくなっていくと考えることが自然ではないかと締めくくって頂きました。

今、ネット上のボタン一つで欲しい商品が手元に届くし、初音ミクが目の前で歌うライブに熱狂できる現代…本当の現実だとか、仮想世界だとか、それを区別すること自体難しい話しで、もはや私たちにとって大したことではなかったのだと、目から鱗を落として納得するのでした。



第2パネリスト:加藤智宏氏/心理学講師、舞台演出家、演劇プロデューサー

ここでは、加藤氏によって舞台表現においてリアルとは一体何かということをお話して頂きました。はじめに、舞台表現の種類や変遷、特に加藤氏が実際に演出をされている新劇というジャンルについての概略から、最近アートに特化した演劇の紹介などもお話されました。舞台演出をする際には、まず演出するための「素材」が必要であるということで、その素材というのは台本のことで、それにどのようなテーマ性を持たせて見せるかによって観客に迎合してもらえるかが重要になるとのことでした。次に、実際に名古屋で活動されている「少年王者館」という劇団の映像を流しながら、どのような演出が為されているのかを解説してくださいました。今回、SFコミュ研の方から「舞台の中でいかに現実を拡張するか」というテーマを提示させて頂いたのですが、加藤氏のお答えとして、やはり「物理的なものは拡張のしようがない(例えば、そこにある舞台を広くする等)」のですが、それでも時々、舞台が広がることがある、と。それはつまり、舞台を観て観客が受けたイメージが、感覚受容器を伝って「拡張されているように見える」ということでした。結論として、「この世の中に明らかにリアルなものとして存在しているんだということを認識していること」が私たちにとってのリアルなのではないかということでした。

具体的な場面を丁寧に提示しながらの解説はとても分かりやすく、小さな舞台が脳のイメージによって広がっていく様子を想起させる興味深い内容でした。加藤氏が専門とする認知心理学との繋がりを感じる部分もあり、イベント後もじっくりと咀嚼しながら考えさせて頂きました。


第3パネリスト:後藤智希氏/臨床心理士

臨床心理士という立場から、依存という病理を抱えた方が持つ現実感の印象をお話して頂きました。まずは専門用語が伴うような病理の症状について、分かりやすくまとめたスライドを映しながら、「依存」がどういうものであるかを説明してくださいました。依存の背景には「自己不全感」、いわゆる劣等感と、「自己愛」が過度に先行してしまうために心身の平常を保てなくなることにあるとのことでした。本当の現実世界と、自分自身の心的なリアルというものに大きな差が生じ、それを適度に埋められなかった場合に、自分の力が認められないのは社会が悪いという発想に繋がりやすいということもお話して頂きました。しかし、自己不全感も自己愛も全ての人が持ち得る、生きて行くために必要なものであるため、一般的には成長と共に適応していくものであるため、今後ますます発展していくだろうVRやSNSと適切な関係とバランスをとっていくことが大切ではないかというご指摘を頂きました。

例えば自己愛に葛藤する方が、SNSによって自己をプロデュースすることで心身のバランスを保てたという方も中にはみえるようですが、やはり現実での自分自身の不全感をインターネット上で補うとしても、行き過ぎれば依存になってしまう、そういうぎりぎりの所でバランスを取りながら私たちは生活しているのだなと深く感じました。

パネリストによる対談
全発表終了後、3人のパネラーによる対談を行いました。
皆様、一様にテーマへの戸惑いを口にしていらっしゃったので大変恐縮ではありましたが、三者三様の「現実」への認識は大変興味深く、まったく違う視点からの「リアル」考察は話題が絶えず、とても楽しい対談を聞かせて頂きました。

前回に引き続き、今回も各分野の専門的な視点が交差する刺激的なイベントとなりました。改めて、関係者の皆様、ご来場頂いた皆様、チラシを置いてくださった各店舗の皆様には心より、厚く御礼申し上げます。また次回の開催が叶いましたら、何卒よろしくお願い申し上げます!



読書ブログ「お気らく活字生活」の舞狂小鬼さんがイベントレポートを書いてくださいました。
当日の内容がぐっと理解できる素晴らしい記事です!小鬼さん、本当にありがとうございました!(*^^*)

お気らく活字生活「SFインターメディアフェスティバル2016」


SFコミュニケーション研究会一同
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