2015年08月の記事 (1/1)

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『紙の動物園』ケン・リュウのご紹介

こんにちは、おもちΩです。

毎日暑くて幻覚が見える昨今ですが、夜は秋の風を感じるようになってきましたね。皆様いかがお過ごしでしょうか。この場を借りて、残暑お見舞い申しあげます。

さて、今回は現在SF文学界で大注目の中国系米作家ケン・リュウ『紙の動物園』のことをご紹介します。この本、元々話題の書籍であったのですが、更に又吉氏(芥川賞受賞作『火花』の著者)の『紙の動物園』推しの一言が強烈な後押しとなり、多くの書店で入荷待ちという天晴な状態となっているようです。本の中身はケン・リュウの日本オリジナル短編集で、ヒューゴー賞・ネビュラ賞・世界幻想文学大賞受賞という史上初の3冠に輝いた表題作「紙の動物園」を含む15編が収録されています。

この情感豊かに描かれた短編集は、様々なSF的なガジェットを用いていますが、親と子、ひいては遠い先祖と未来を結ぶ人々の繋がりを主とした作品でした。中には鼻の奥がほんのり痛むような親子の愛を描いたものもあり、深い愛や自己犠牲の精神に歯痒さを覚えるものも…。全体的に、本文には会話も多く、設定の描写は割とざっくりしているため、ハードSFのような小難しさが苦手という方にも読みやすいのではないでしょうか。また、儒教的な考えや森羅万象に息づく生命を思わせるアジア的な思想も見受けられ、「感覚で読む」ことを少なからず味わいました。しかし、11歳で中国からアメリカに渡ったケン・リュウの生い立ちを根底に感じさせる孤独感と、異文化に対する共感・反撥は、移民に触れる経験が乏しい現代の日本人に、彼らの境遇に対する理解を優しく手解きをしているようでもありました。登場する親たちの立派な言動や振る舞いと、それを継ぐ子供たちには頭が下がる思いでしたが…(^^;

本書を読んでいると、ケン・リュウという作家が非常に好奇心旺盛で活力のある作家だということがよく分かります。古今東西、全てのものに対して常にアンテナを張り巡らせ、創作に取り入れているのでしょうね。次々に新作を生み続けているそうなので、今後もファンを長く楽しませてくれそうです。
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