2015年03月の記事 (1/1)

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「第二回SF読書会」レポート

こんばんは、T田です。3月29日にウインクあいちで行われました「第2回 名古屋SF読書会」へ、おもちΩさん・魚肉さんとともに参加させていただきました。会場には、私のようなSF初心者からかなり詳しい方まで、そして年代もばらばらの方たちがいらっしゃって、それぞれの視点での読みや感想、そして情報を自由に交換し合うことのできる会でした。

課題本は、アルフレッド・ベスターの『虎よ、虎よ!』。主人公は、宇宙船三等機関士のガリヴァー・フォイル。筋骨たくましく頑健、しかし他にこれといった取り柄もなく、正式の乗組員からの評価も残念な男です。乗船していたプレスタイン財閥のノーマッドが爆撃を受けた際にたった一人生き残り、170日間もの孤独に耐えながら漂流していたところ、同じプレスタイン財閥所有のヴォーガがやってくるのを発見し、助けを求めます。しかし、それに気付いたはずのヴォーガは、なぜか彼を無視して置き去りにし…。『虎よ、虎よ!』は、そんなフォイルの復讐譚です。

読書会は2部構成になっており、前半は3グループに分かれ、司会の方のリードで簡単な自己紹介と一言感想を。そこで出た意見をとっかかりとしてディスカッションをしました。私は比較的SF初心者の方が多いグループに入れていただいたようなのですが、皆さん博識で、自分の感想を分かりやすく伝えられる方ばかりで、とっちらかっていた頭の中を整理していただきました。同じシーン・同じ文章を読んできた人の集まりなはずなのに、人によって抱いていた視覚イメージが2つに別れていたり、主人公への評価に男女で差があったりと興味深かったです。また、20歳ほど上の世代の方から、自分の知らない時代の『虎よ、虎よ!』に影響を受けたと思われる作品やキャラクターの名前が出たりと、その世代ならではのお話が聞けました。

後半は、司会の方が各グループの板書をもとに全体の場で発表し、その内容に関して質疑応答をするというスタイル。3グループとも板書のまとめ方が上手く、他のグループで出た意見も分かりやすかったです。個人的に、フォイルが途中で施されることになる、虎模様の入れ墨の色についての考察にはっとしました。

読書会への参加は初めてな上に、普段手に取ることのないSF小説が課題、読み終わったのが当日の朝、さらに感想らしい感想を持てず…ということで不安がいっぱいでしたが、とても楽しい時間を過ごすことができました。次回の課題本はレイ・ブラッドベリ著の『華氏451度』で、夏頃に開催予定とのこと。また参加したいと思います。

【追記】

名古屋SF読書会 参加者の方々によるレポートもご覧ください(*^^*)

お気らく活字生活
 名古屋SF読書会主催をされたメンバーのお一人で、当研究会でもお世話になっている舞狂小鬼(まいくるこおに)さんのブログです。あらゆるジャンルの本を網羅し、活字中毒の名にふさわしい(?)密度の濃い記事を楽しめます♪

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『ROBO&PEACE〜テクノロジーで描く未来〜』レポート

こんにちは、KことおもちΩです。昨日は会員のT田と魚肉、私の3名で、ウィンクあいちで開催された「第2回 名古屋SF読書会」へ参加しました!課題本はA.ベスターの『虎よ、虎よ!』。初めての参加でしたが、SF初心者から本職の方までみえ、率直な意見から深く読み込まれた意見まで好きずきに飛び交う楽しい読書会でした(^_^*)こちらのイベントレポートはT田が後ほどレポートを掲載しますので、その前に、私は先週3月26日〜29日にグランフロント大阪で開催された『ナレッジキャピタル フェスティバル』の報告をしたいと思います。

このイベントは、一般財団法人ナレッジキャピタル、株式会社KMOによって主催されているもので、「OMOSIROIを体感しよう!」というキャッチコピーのもと、「先進的かつ楽しい、国際色のある様々なプログラムが体験できる催し」とのことです。(公式パンフレットより)

今回私が参加したプログラムは、『ROBO&PEACE〜テクノロジーで描く未来〜』という企画で、ロボットを始め、先端テクノロジーを活用した製品やサービスがショッピングモール内に展示され、それぞれ体験コーナーもあるというものでした。ソフトバンクのPepper君、ヴァーチャルリアリティを見せるOculus Rift、顎関節症を治療するための医療用ロボットなど、気軽に体験できるコーナーになっていました。

また、デザイン誌『AXIS』編集長の石橋勝利さんとテクノロジージャーナリストの大谷和利さんによるトークセッション「ロボットのいる、デザインのある暮らし -テクノロジーデザインのあり方-」も行われ、現在のロボットデザインの状況や変遷にまつわるお話を聞くことができました。

トークセッションの中でも、現在のロボットデザインは、目的に特化したデザインへと多様性を広げ、「人型にこだわらない」傾向にあるというのが印象的でした。2014年末の紅白歌合戦でperfumeと共演した飛行型ロボット・ドローン(空撮や照明に活用されています)や、馬型のもの、蛇の様に棒状のものに巻き付いたり、水中を泳ぐものなど、様々でした。そしてこれはSF映画の中でも見られる現象で、『インターステラー』に登場するロボット、TARSとCASEも例に挙がっていました。今後、こうしたロボットが日常に流入することによって航空法やロボット関連の法律が整備されてくるだろうということで、最近マスコミ業界では、そういった法規制がされる前にドローンを使って空撮動画を撮りためているのではないかという小話も面白かったです。

また、最近の若い技術者たちはクラウドファンディング※で資金を集め、それによって更に革新的な開発やデザインが次々に生み出されているそうです。

※クラウドファンディング…群衆(crowd)と資金調達(fundhing)を組み合わせた造語で、クリエイターや起業家が製品・サービスの開発、もしくはアイデアの実現などの「ある目的」のために、インターネットを通じて不特定多数の人から資金の出資や協力を募ることをいいます。(参照URL:http://anipipop.com/what-is-crowdfunding/)

過去、技術者たちは「理想のロボットを作る」という目的のもと開発研究に奮闘していましたが、現在ではその功績によって手に入れた様々な技術で、「技術から派生するロボットを作る」方向へとシフトしてきたそうです。そしてロボットの社会普及に際して最も大きな壁だったのは、やはり予算の問題でしたが、そうした技術や知識を駆使することで予算削減が可能になってきています。中でも、お掃除ロボット・ルンバはそうした発明の成功例で、自然な形で家庭の中へと浸透したとのことでした。
ちなみに、今夏販売開始されると噂の小型ドローン「ZANO」は3〜4万円くらいで購入できるのではないかとのことです。独立型ロボットなので、マラソン選手を追跡して撮影したり、人間が侵入できない場所に使用するなど、活用法は多岐に渡りそうですね。もちろん、私たちが日常生活で利用する方法も色々考えられると思います。
ここにZANOの動画をご紹介しておきます。

YouTube ZANO in action

そしてもう一つ興味深かったのは、人間とパートナーロボット(コミュニケーションロボット)との関係性でした。以前のロボット開発では、「人をケアするロボット」に重点を置いていましたが、現代の考え方の一つとしては、「人が世話をしてあげるロボット」の需要が高まりを見せているのではないかということです。あえて不完全なロボットを家庭に置くことで、人に癒しと安心を提供するのです。

最後の質疑応答では、僭越ながら私も「これまでとこれからのSFと科学技術には何か関係性は見いだせますか」といったことを尋ねてみました。頂いたお答えでは、「かつてSFの舞台を実現させようとする試みは確かにあった」のですが、「現在はSFの技術を超えてしまっているため、また更なる課題がSF作品の中に現れれば再び相互関係は見られるかもしれない」とのことでした。あとは、スマートフォンの普及がSFやミステリーの創造性を狭めてしまったのではないかといったことにも言及されました。

ただ、スマートフォンの機能を上手に扱った創作物もまた多く出てきていると思うので、やはり創作と科学技術は良い意味で、相互に刺激を与えながら次のステージへと進み続けているのだろうなという印象を受けたイベントとなりました。

最後に、会場の様子を少し。

peppert.jpg
Pepper君と体験者

inu.jpg
ロボット犬AIBOの後輩(?)。この子は店番Pepper君がおすすめしてくれました。
眠っているようです。隣のうさぎは知人のカメラマン栗木栗さんに頂いたうさぎのペープサート。


以上、『ROBO&PEACE〜テクノロジーで描く未来〜』レポートでした。
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。



K

夜の部~SFとプログレの夜~


1週間ぶりではございますが、ごきげんよう。
昼の部が終わり、夜の部へとお話を進めようかと思います。
緩やかに人が集まり、昼の部とは違い少し大人の雰囲気が漂う中スタートしました。

【宮崎尚氏アコースティックライブ】
まずは日本を代表するLed ZeppelinトリビューバンドCinnamonの初代ヴォーカリスト・宮崎尚氏によるライブ。
Led Zeppelinの愛あふれるトークを交えつつ温かい雰囲気のライブでした。恥ずかしながら私H山はLed Zeppelinを聴いたことがなかったのですが宮崎氏の力強い声、中村氏のアコースティックギターやマンドリンの心地よいこと。セットリストは以下の通り。

That’s the Way
Gallows Pole
The Rain Song/聖なる館
The Battle of Evermore/限りなき戦い
Stairway to Heaven/天国への階段


【菊池誠氏&渡辺英樹氏トークライブ】
プログレッシブ・ロック(以下プログレ)についてジャケットや映像を交えて話しました。
先ほどのライブに関連しLed Zeppelinのジャケットの話から始まり、デザインを手がけた「ヒプノシス」の話題へ。今見ても前衛的なデザインで、プログレにおいてジャケットのデザインはかなり重要なポイントだそうで「プログレと言えば絵(ジャケット)」と語っていました。その後はプログレの歴史について映像を交えてのトーク。
最終的にはあれもプログレ、これもプログレと2人の厚さが止まらなくなってしまいました。プログレも「これはプログレ」と何でも言えてしまう点においてSFと似ているのかもしれませんね。H山はタルカスが非常に気に入りました。

【andmo‘ライブ】
長いようで短かった1日もラストになりました。最後はandmo‘のライブでしめくくりです。
手をかざすと音を奏でるテルミンによる演奏。その繊細な手の動きと、歪んでいるようでどこかゆったりと流れるテルミンの音が不思議な世界へと連れて行ってくれそうな気持になります。長めの曲ではあるがめくるめく音の流れに飲みこまれていきあっという間に時間が過ぎてしまいました。その音とは裏腹にタイトルと付け方はとてもキュートなのも印象的でした。セットリストは以下の通り。
UMA2
B.Rex
地下室の林檎
Onza Forest(オンツァの森)
ヨーロッパの曙
夜のリレンザ

これで終わりかと思いきや、宮崎氏とのスペシャルコラボライブ!LED ZEPPELINのカ
シミールで圧巻のフィナーレでした。

さて、第1回SFインターメディアフェスティバル、楽しんでいただけたでしょうか。
またこう言った会が開けるよう邁進してまいります。
こちらのブログも少しづつ更新していくと思いますのでまたのぞいていただけると嬉しいです。

SFインターメディアフェスティバル~ロボットの昼~

皆様こんばんは。
SFコミュニケーション研究会特撮担当(らしい)H山です。
遡ること半年前に突然主催に誘われ、企画されたSFインターメディアフェスティバル。
イベント企画の素人集団ではありますが、多くの方々の協力によりどうにか当日を迎えることができました。この場をお借りして御礼申し上げます。
簡単ではありますが、レポートという形でまとめたいと思います。
まずは昼の部「ロボットの昼」3人のパネリストを迎えてロボットについて各々の視点で語っていただきました。

第1パネリスト:GAZEROLD制作者藤堂高行
人型のものにセンサーが感知し、首と視線を向けるヒューマノイドロボットGAZEROIDの制作者である藤堂氏に登壇頂きました。「彼女ができないのならば自分で理想の彼女を作ってしまおう!」と制作に至った思いをユニークに話してくださいました。「恋=視線を合わせること」という考えのもと、AK◯48柏◯由紀さん(伏字失礼します)の可愛らしさの象徴である目と首の動きに着目しGAZEROIDを作りました。そしてさまざまな所で展示を重ね「こわい」「不気味」と言われる理由の一つに瞬きの動きがないことに気づき、今後改良を重ねていくそうです。今後の更なる進化が楽しみですね。
実際にGAZEROIDを会場に展示し、対面体験も行いました。可愛さにドキドキする人もいれば不気味に思う人やびっくりする人もいて反応は様々でした。

第2パネリスト:SFコミュニケーション研究会主催川本真弓
ロボットは人間に近付くと人はそれらに親近感が沸くが、ある一定のラインを越えると途端に不気味に感じることがある。これを「不気味の谷」と言います。その「不気味の谷」について2014年公開「クレヨンしんちゃん 逆襲のロボとーちゃん」を基に語りました。
突如ロボットに改造されてしまったひろしを見て喜んだしんのすけ(息子)と戸惑ったみさえ(妻)のように人によっても環境によっても不気味の谷は変化していくのでなかなか立証するのは難しいようです。

第3パネリスト:椙山女学園大学教授長澤唯史
世界的にも一大ブームを起こしたボーカロイド初音ミクについて、発展の背景や今後についてお話しいただきました。
人気が出ると権利を固めがちですが、初音ミクは逆に権利を固めずクリエイターに放ち、新たなコンテンツを作りだしてきており様々な要因が重なり、世界的にも有名となりました。(海外ではA◯B48より初音ミクが人気であると藤堂氏に申し訳なさそうにおっしゃっておりました笑)
そしてボーカロイドは今までは人間の声へと近づけようと開発されてきたが、今はロボットの声(人が出せないような声)を作る方向もあるそうで、とても興味深かったです。

パネリストによる対談
全発表終了後、3人のパネラーによる対談を行いました。
違う内容の発表ではありましたが、ロボットという共通項から更に深めた話を伺えました。
また会場からも多数質問を頂き、有意義な交流の場となりました。

そして舞台は夜へと移るのです・・・

SFインターメディアフェスティバル2015終了致しました。

遅ればせながら、こちらで告知させて頂いていた【SFインターメディアフェスティバル2015】が、3月7日(土)に無事に終了致しましたことをお知らせ致します。

お忙しい中、たくさんの方にご来場頂けたことを厚く御礼申し上げます。
性別や年齢、また、SFや科学・最新技術への関心度もそれぞれ異なる、非常に幅広い方々にお越し頂きましたことを大変嬉しく思います。皆様にお楽しみ頂き、何か一つでも印象に残ったものを持ち帰って頂けたなら、とても幸いのことと思います。

そして、イベントにご出演頂きました藤堂さんとGAZEROIDさん、長澤さん、宮崎さん、中村さん、菊池さん、児嶋さん、渡辺さん、素晴らしいパフォーマンスで会場を盛り上げてくださり、誠にありがとうございました。皆様のおかげで、昼の部・夜の部ともに、あちらこちらで笑顔が見られ、心に残るとても素敵な一日になりました。

関係者の方々におかれましても、陰ながら支えてくださった皆様のご協力おかげで、無事にイベントを終えることができましたことを感謝致します。特に、昼の部にご出演頂き、夜の部の企画・運営をしてくださった共同主催者である長澤唯史先生には、多大なご負担とご尽力を頂き、本当にありがとうございました。


後日、当日のイベントレポートなど順次掲載させて頂きますので、ご覧頂ければと思います。現時点では、名古屋大学SF研究会のブログで、【SFインターメディアフェスティバル2015】のイベントレポートをご掲載頂いています。

名大SF研記録ブログ
http://d.hatena.ne.jp/MSF/20150308/1425837393



最後に、改めまして【SFインターメディアフェスティバル2015】にご来場くださった皆様、
本当に本当にありがとうございました!



SFコミュニケーション研究会代表 川本真弓

K : 『われはロボット』〜アシモフになりたいアシモフと、人間でありたいディック〜


SFインターメディアフェスティバル2015詳細はコチラ

SFインターメディアフェスティバル2015まで残すところあと1日となりました。
ご予約のお問い合わせなどもたくさん頂いておりまして、イベントは賑やかになりそうな予感がしてワクワクしております。
天気予報によると当日は雨とのことですので、ご来場の皆様には寒さと雨の中大変かもしれませんが、どうぞお気をつけてお越しくださいませ。
当日券のご用意もありますので、突然時間が空いたという方にも遊びに来て頂ければと思います。


さて、告知以外のブログ更新もたまにはせねばと思い…
SFインターメディアフェスティバル2015昼の部のテーマは「ロボットは人間を超えるか」ということもあり、ロボットについて考えることにしました。

『われはロボット』[決定版]
アイザック・アシモフ 小尾芙佐訳
早川書房

アシモフと言えば、SFのロボット観を変えた「ロボット工学の三原則」でしょうか。

第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りではない。

第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反する恐れのないかぎり、自己をまもらなければならない。

この『われはロボット』にはスーザン・キャルビン博士が記者に対して話す回想記として、9つの短編が収録されています。ロボット工学の三原則は、その中の「うそつき」の執筆で確立された原則だと、巻末に掲載されている瀬名秀明さんの解説で書かれていました。

アシモフは作品の整合性にこだわった書き手だったようで、ロボットたちがこの三原則を究極的に守るがゆえに発生する問題を、あらゆるパターンで描いています。そして、作品内のロボットたちは、とうに人間を超えた完璧な機械でありながら、人間に服従する哀れな機械でもありました。三原則を厳格に守りながらロボットを描くアシモフの姿勢は、まさに作品内で描かれるロボットさながらです。

私自身はまだまだSF小説歴は浅く、他にロボット(アンドロイド)と聞いてすぐに思いつくのは、P.K.ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』くらいですが、この作品は、『われはロボット』のロボット共存社会とは正反対の描かれ方をしています。ディックのロボット作品は「ロボットが規則を破ることで発生する問題」を扱ったのに対し、アシモフのロボット作品は「ロボットが規則を厳守するあまり発生する問題」に重点を置いているのです。

『われはロボット』「8、証拠」で、スーザン・キャルビンは、ロボット疑惑をかけられたバイアリィという男について言及した際、「ロボット工学の原則すべてに従う場合、彼はロボットであるかもしれないし、また単に極めて善良な人間であるかもしれない」と述べています。この台詞に、アシモフの人間とロボットへの見解が集約されているように思われます。
ディックが、情のない人間はロボットと同じであるという認識を持つのに対し、アシモフは、ロボットが「極めて善良な人間であるかもしれない」という逆説的な判断を下しているのです。

ロボットという単語が生まれたのは1920年のこと、チェコの作家カレル・チャペックが『R.U.R』という戯曲で「労働」を意味する単語をもじってロボットと名付けました。この作品に登場するロボットは、反乱を起こす機械たちという、言わば人類の敵として描かれています。この作品以降、ロボットはネガティブな機械として扱われてきましたが、アシモフのロボット工学の大三原則によって、その認識は覆されたようです。ただ、ディックもロボットを単純に、冷徹な機械であると見なしていたわけではありません。情のない人間はロボットであると同時に、たとえ上辺でも情を感じられるロボットは人間と同じではないのかというジレンマも、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』では1つの大きなテーマになっています。

ところで、アシモフの妻・ジャネットによるエッセイ「アシモフになりたい」(「SFマガジン」1995)の中で、アシモフは死の間際、幾度となく「アシモフになりたい」とつぶやき、妻が「あなたがアシモフだ」と伝えたところ、幸せそうに笑みを浮かべて寝入ったというエピソードがあるそうです。彼は多くの作品でロボットを描いていく内に、もしかしたら自己の存在という迷宮に入り込み、人間・アシモフへの渇望にうなされたのかもしれません。そしてディックも、不遇な生活や人間関係に苦しみ、「本物」の人間とは何かという問題に固執した作家でした。

『われはロボット』は1950年に出版されたもので、ディックが小説家デビューを果たしたのは1952年ですので、時代としてはほとんど重なっていますが、このように対照的なロボット観を持った作家が、ほぼ同時期に活躍していたというのは興味深いことに思われます。(正確には、ディックが有名になったのはもう少し先になりますが…)社会の転換が文学を巻き込んだのか、文学の転換が社会を巻き込んだのか、文化も社会も経済も激動の時代ですから、どちらにしても不思議ではないかもしれません。

…作品ではなく作家の話ばかりになってしまいました。
『われはロボット』の中で一番胸が締め付けられたのは「うそつき」でした。アシモフのロボットは、私にとってはあまりに「善良」過ぎて悲しくなります。極限のジレンマを突きつけられて狂うロボットの姿は、たとえ実際には感情というものが備わっていなかったとしても、見ていられないものでした。

と、申し訳程度に感想を…笑


現代では当時よりもずっとロボットが身近な存在になりました。ロボットがまだ人間より弱い立場であれば愛され続けるかもしれませんが、その一線を超えた時に、人間は人間でいられるのか、それを私が生きている間に見届けられるかどうかは少し気になるところであります。



K
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